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【ロングインタビュー】Private Equity and Venture Capital Lab

Boothの数ある授業の中で最も人気のある授業の1つがPrivate Equity and Venture Capital Lab(通称PE/VC Lab)です。この授業は、 PE/VCの両セクションに分かれて、実務家教員(PE: Chris McGowan, VC: Jason Heltzer/Ira Weiss)から実務を学ぶとともに、学期中にPEまたはVCで10週間以上インターンする設計になっています

あまり知られていませんが、シカゴはアメリカにおいて、カリフォルニア、 NY、ボストンに次いで大きなPE/VC市場で、シカゴだけでもPE500社/VC200社以上が存在しています

今回はそんなPE/VC Labの魅力やインターン事情について、2019年春学期にPE/VC Labを履修している3人に話を伺いました

Aさん:PEセクション。Class of 2020

Bさん:PEセクション。Class of 2020

Cさん:VCセクション。Class of 2020


―まず、PE/VC Labの履修方法について教えてもらえますか

A: 履修を希望する学生はレジュメを事務局に送り、レジュメをもとに本プログラムに参加しているPE/VCファームとのマッチングが行われます。面接等を経て、ファームからインターンのオファーを得た学生のみが授業を履修できます。プログラムに参加しているファームは80社ほど。1つのファームで複数人のインターンを受け入れるパターンもあり、全体として履修者は130人くらいです。今年は350人強が応募したそうです

C:授業は春学期(4-6月)ですが、アプリケーションは10-11月。すぐにファームが決まって1月からインターンする人もいれば、開始が4月以降になる人もいます

A:期間中に10週間以上、週15-20時間程度インターンを実施します。ファームはシカゴに限らず、NYやサンフランシスコでインターンしている人もいます。インターンに加えて授業が週3時間(1コマ)。授業はPEセクションとVCセクションで基本的に別々ですが、10週間の授業期間のうち2回ほど、同じゲストスピーカーの話を聞くため共通の授業となります

―皆さんはなぜこの授業を受けようと思ったんですか

B:投資銀行でPEのお客様と仕事をした経験があり、PE業務の奥深さを感じるとともに、内製化が可能でFAを雇うインセンティブが低いPEファンドに対して投資銀行が付加価値を出すためにはよりファンドのビジネスを理解しなければならないと感じていました。実際にPEファンドで働くという経験は、同じM&Aを扱うにしても違うサイドから見ることができるので、非常に役立つと感じています

A:私は前職で、地方の中小企業に投資をしたことがあり、日本のプライベートセクターには情報の非対称があると感じていました。他方で、アメリカにおけるPEファームはそのプレゼンスが大きく、情報の非対称性を解消する役割が進んでいると感じたため、実際に中から経験したいと思いました

C:私はVCセクションですが、VCが何を見て事業を評価しているのかという点に興味がありました。前職で投資関連の仕事をしていましたが、アーリースタートアップをどのように見定めるのかよく分からなかったため、VCで働いてシードのスタートアップを見てみたいと思いました

―皆さん、インターンはどこで行っていますか

C:Polsky CenterInnovation FundというVCでインターンしています。プリシードのみを対象としており、まだアイデア段階のビジネスや、技術のみの企業を支援しています。基本的にfollow-onは行っていません。ファンド全体で年に最大で10プロジェクトの支援をすることとなっており、5つのチームが、10週間で投資判断を行うサイクルを2回こなします。Innovation Fundには一般のアプリケーションより前の10月頃に応募しました。面接等のプロセスはPE/VC一般とあまり変わりません。チームの編成が特徴的で、MBA、ロースクール、公共政策、PhD、Undergradの学生の5人で構成されます。MBA生からは5チーム分の計5人が選ばれます。応募者は100人程はいたと思うので、倍率は高いです。なお、Innovation Fundのメンバーに選ばれた場合には、PE/VC Labの授業を履修するかどうか選択することができます。チーム内やチーム間でのFeedbackのほか、製薬の知財権の取得の仕方、 FDA approvalの取得方法、プレゼンテーションの仕方などを教えてもらいます。他のインターンシップに比べて研修制度はしっかりしていると思います

B:私はNYのLMM Capital Partnersというファンドでインターンしています。ステージはバイアウトとグロース、インダストリーはManufacturingとBusiness serviceをテーマに幅広く対象としています。サイズとしてはLower-middle marketで、$20M-50MのEquity 投資がターゲット。私は、PE/VC Labの通常のアプリケーションでは先方から面接が設定された会社はありませんでした。そのため、アラムナイ経由や、LinkedInやPitchbook等を通じて様々なファームにコンタクトをして、最終的に、今インターンしているファンドが、PE/VC Labを知らなかったもののインターンを受け入れた経験があるということで交渉した上でオファーをもらいました。最終的に決まったのは3月くらいです。ちなみに、インターン先は授業が始まる4月の初週までには決まっている必要があります

A:私はSterling PartnersというPEファンドでインターンをしています。シカゴで30数年やっている老舗のファンドです。サイズは基本的にはmiddle capで、”first institutional capital”(他のファンドの後ではなく、最初の投資家)であることにこだわっています。業界にあまり縛りはなく、founderの自己資金を使ったグロース、インキュベーションに近い領域も対象にしています。私の場合はSterling Partners Investment Thesis Challenge (SPITC)というプログラムに応募しました。SPITCはチームとして投資アイデアを応募し、そのチーム単位でインターンを受け入れてもらう仕組みになっていて、1チーム4-5人、計5チームが受け入れられます。アプライしたのは13チーム。個人としてファームの業務を行うことはできませんが、関心ある領域に特化してインターンをすることができます。またSPITCに通った場合には、PE/VC Labを履修するか選ぶことができます。1月初がアプリケーションの締め切りで、11月くらいから準備を始めました。私のチームは私以外に中国人1人とアルゼンチン人2人がいます。後から知ったのですが、全員インターナショナル生のチームがSPITCに受かったのは史上初だったそうです

C:VCセクションでは、自分でインターン先を見つけた、または授業に関係なく元々インターンをしていた、という人たちが1/3くらいいます(アメリカ国籍に限る)

A:インターナショナル生の場合、1年目は自由にインターンができず、大学のプログラムとしてインターンする必要があるので、アメリカ人と比べると不利だと思います


―インターンではどのようなことをしていますか

B:主に2つあり、1つはディールのソーシングを捌く仕事をしています。様々な会社のInformation Memorandumが回ってくるので、それを1つ1つチェックして、最終的にその案件を追いかけるか、追いかけないか判断して10枚程度のレポートにまとめています。もう1つの仕事としては、追いかけている案件のExecutionを手伝うということで、例えば1週目にNon-Name Baseの情報を基にマーケットリサーチ、2週目に実際の対象企業の調査、3週目はFinancial Modeling、4週目は投資委員会向けの資料のまとめといった調子で実際のディールのタイムラインでヘルプを行っていました。上司との間では、電話とメールベースで成果物についてフィードバックをもらっています。週のコミットメントとしては、リモートゆえに仕事量の擦り合わせが難しく、結局5日間働くこともあります

A:私の場合は1-5月末がSPITCの期間ですが、ファーム側の意向を聞きながら投資対象を絞り、関連するトレードショーで興味を持ってくれる会社を数社見つけた上で、そのうち1つの会社を選び、デューディリジェンスを行いました。現在は1回目の投資委員会に通って、タームシートを作っている段階です。Sterling Partnersにも担当者はいますが、基本的に自分たちで回しています。定期的にその担当者との間や、チーム内で打合せを行っていますが、1日中拘束されるということはないです

―非常に高いコミットメントが求められる印象ですが、他の授業との両立はできていますか

A:PE/VC Labを履修する場合には、授業を3コマまでにすることが推奨(highly advised)されています。私の場合はComputer Scienceも専攻しており、計4コマ履修しています。SPITCは拘束時間が比較的少なく(10時間程度)、両立可能でした

C:私も4コマ履修しています。Innovation Fundの場合、インターンする時間は決まっていませんが、実際にはいつでもFounderから電話がかかってくるので、24時間対応しないといけないのが辛いところです。トータルでは週15-20時間くらい使っていると思います

B:授業は3コマとっています。他に履修している授業は Strategy Lab(チーム単位で実際にコンサルティングを行う授業)で、こちらもそれなりに負担はありますが、なんとか両立させています

―インターンの良かった点、また、不満に感じた点はありますか

C:Innovation Fundの場合、チームプロジェクトではありますが、 MBA生が4割ぐらいの仕事を行い、他のメンバーにビジネスについて教えながら進めていく形になります。ビジネスサイドの相談が基本的に私に集約されるのが辛いですね。夢を語られてもあまり響かない人にはオススメしないです。投資先と同じ熱さを感じられないと難しいと思います

A:自分たちがPEファームとして投資先にコンタクトして、デューディリジェンスを行い、アメリカのローカルな会社への投資を実際に検討している機会はとても貴重だと思っています

B:良かった点は、まずはアメリカで働くという経験です。英語でのコミュニケーションにより細かい点を確認せず進めた結果、後々手戻りが生じたこともあり、そういった経験も貴重だと感じました。他方で、金融業界での専門用語や常識等が、自分が日本で触れていたものと同じなので、全く違和感なく働けるなという感覚も得られました

A:同感です。アメリカの方が使えるFinancial instrumentsが多く、PE投資に対する心理的なハードルがずっと低いといった違いはありますが、裏で行っている業務内容は極めて日本と地続きと感じます。そこは自信になりました

―授業についても教えてください

C:VCセクションでは、Cap Tableを作るときにどのようにfounderの利益を確保しつつ自分の利益を最大化するか、シリーズAで上手くいかなければシリーズB,Cでどのように負けないようにするかといった実務的な内容が学べます

B:PEセクションでは、教授のChrisがとても親切で、話が非常に具体的です。授業には毎回テーマがあり、ファンドのストラクチャー、M&AにおけるSPAのターム、DDポイント、Value upプランなど、一通り学べるという点が良いです。前回はNegotiationの授業でしたが、これも良かったです。6人でチームを組み、ファンドに投資されている会社がRecapするというテーマでした

A:他にも、PE Labを履修すると、Chrisから様々な記事や役立つ情報がメールで送られてきます

B:Chrisはこれまで履修した全ての学生のレジュメを持っていて、現在履修している他の学生とはレジュメを共有したり、ホストのPEファームとパーティがあるなど学生と繋がろうとする姿勢は深く、彼は「この授業も含め、全てがネットワークだ」と言っていました

A:ゲストスピーカーも非常に良いです。例えば、この前はChrisのファンドのポートフォリオカンパニーのCEOが、Chrisと過去に揉めた時の話をしてくれました。当時の資料を見たり、その理由をChrisに聞いたりすることができ、面白かったです

―PE/VC業界に興味があるという受験生は多いです。BoothからPE/VCへの就職についてどのように見ていますか

B:シカゴエリアではPolsky Centerのプレゼンスが高く、Polskyの提供するプログラムもとても充実していると感じます。シカゴエリアのPEには、Boothが圧倒的に人を送り出していると思います

C:日本でも、PE/VC業界では多くのBoothアラムナイが活躍していますね

―最後に受験生へのアドバイスをお願いします

B:PE/VC Labはとてもユニークで、私もBoothの受験を考えたときに初めに注目した冠授業です。教授やクラスメートとの交流も含めて、授業でありながらも実務の経験を積めるというところは有意義だと思います

A:Boothは、他の学校に比べてPE/VCに関するプログラムが充実していて、とても勉強になると思います

Interviewer: K (Class of 2020)

Fintech at Booth

こんにちは、Booth Class of 2020のTHです。

ファイナンスとテクノロジーは多くのBoothの学生が興味を見せる二大分野であり、それらの融合であるFinTechに関連する活動は、自ずと大変な盛り上がりを見せています。私自身、FinTech ClubのCo-Chairとして、米国におけるFinTechの先進的な試みを数多く学んでいます。ここでは、BoothにおけるFinTechの取り組みの一部を、クラス内・クラス外に分けて紹介させて頂きます。

クラス内での機会

Boothの授業選択のFlexibilityを支える重要な要因として、学生や社会のニーズをいち早く取り入れる豊富な授業のラインナップがあります。例えば、FinTechの分野においては、‘The FinTech Revolution’ や’Cryptocurrency and Blockchain: Markets, Models and Opportunities’といった授業がここ数年で開講され、人気授業となっています。

また、Boothが近年力を入れているEntrepreneurship関連の授業を履修することで(EntrepreneurshipのConcentrationとして登録されている Boothの授業は、当記事執筆時点でなんと45も存在します!)、FinTechに興味がある学生とチームを組んでアイデアを試すことが可能です。例えば、私は一年生の秋学期に履修したEntrepreneurial Discovery(チームを組んで事業アイデアを練る授業)を通じて、FinTechに関するビジネスプランを構築する過程で、現地のFinTech企業のプロフェッショナルとの多くのコネクションを持つ事が出来ました(この活動を通じてインターンシップのオファーを貰った学生も居ます)。

入学してすぐの秋学期から、このような実践的な授業を通してアウトプットを試すことが出来るのは、BoothのFlexibilityの一つの真骨頂であるといえます。

クラス外での機会

金融活動が盛んなシカゴには多くのFinTech企業が存在します。Boothの学生は、Polsky Center(Boothが運営する起業家育成センター)やクラブ活動などを通して、それらとの緊密な関わりを持つことが出来ます。ここではシカゴの先進的なFinTech企業の一部を紹介させて頂きます。

BrainTree
2007年設立。Web上の決済サービスを営む会社です。米国の若者では知らない人が居ない’割り勘ツールVenmoを買収した会社として有名です。現在は決済サービス大手PayPalの一事業となっています。

Ascent
2015年設立。自然言語解析などの技術を使い、クライアントに関係のあるコンプライアンス関連の事象を自動的にアップデートするサービスを提供しています。Ascentは、近年米国で急成長している’RegTech’(Regulatory Technology)の関連企業に位置づけられます。

実は、上記の企業はどちらもBoothの卒業生によって設立されました。それだけではなく、どちらもPolsky Centerが主催するNew Venture Challengeを通してアイデアが練られ、Finalistとして勝ち上がったという大きな共通点があります(中でもAscentはPolsky Centerによって $315,000の投資を受け入れています(https://polsky.uchicago.edu/2018/03/01/uchicago-invests-in-regtech-company-founded-by-chicago-booth-alums/)

Boothの目玉イベントとして知られるNew Venture Challengeですが、その20年を超す歴史の中で、学校の一イベントという枠を超えて多くの起業家の育成に成功していることが分かります。FinTechという一分野をとっても、Boothの提供する機会の豊富さと、社会へのインパクトの大きさに驚かされます。

自由度の高い授業環境: 2019 Winter Quarter

皆さん、こんにちは!Class of 2020のH.Mです。

11月にClass of 2020の日本人14人が、2018年Fall Quarterに実際にどのような授業を履修しているかを投稿しました。今回は、2019年Winter Quarterの実際の履修状況をお伝えできればと思います。

以下が履修科目の一覧です。各授業の分類については前回の投稿をご確認ください。

Foundation
Functions, Management, and the Business Environment
Electives
MPCS
Aさん 35201 - Cases in Financial Management 35214 - Debt, Distress, and Restructuring 40000 - Operations Management
Bさん 34101 - Entrepreneurial Finance and Private Equity 35200 - Corporation Finance 37000 - Marketing Strategy 42001 - Competitive Strategy
Cさん 30116 - Accounting and Financial Analysis I 35214 - Debt, Distress, and Restructuring 40000 - Operations Management
Dさん 30001 - Cost Analysis and Internal Controls 30130 - Financial Statement Analysis 40000 - Operations Management 42117 - Platform Competition
Eさん 34304 - Cryptocurrency and Blockchain 35000 - Investments 35214 - Debt, Distress, and Restructuring 38002 - Managerial Decision Making
Fさん 35000 - Investments 37000 - Marketing Strategy 40101 - Supply Chain Strategy and Practice
Gさん 30116 - Accounting and Financial Analysis I 34101 - Entrepreneurial Finance and Private Equity 35000 - Investments
Hさん 34101 - Entrepreneurial Finance and Private Equity 36110 - Application Development 41100 - Applied Regression Analysis 52011 - Introduction to Computer Systems
Iさん 38001 - Managing in Organizations 42001 - Competitive Strategy 42108 - Corporate Governance
Jさん 34110 - Social Enterprise Lab 35000 - Investments 40000 - Operations Management
Kさん 30121 - Accounting for Entrepreneurship 33040 - Macroeconomics 33503 - Managing the Firm in the Global Economy 35000 - Investments
Lさん 33040 - Macroeconomics 34722 - Scaling Social Innovation Search Lab 35000 - Investments 38001 - Managing in Organizations
Mさん 34302 - Entrepreneurship through Acquisition 38001 - Managing in Organizations 38103 - Strategies and Processes of Negotiation 41100 - Applied Regression Analysis 55001 - Algorithms
Nさん 33040 - Macroeconomics 34103 - Building the New Venture 41100 - Applied Regression Analysis 42117 - Platform Competition

いかがでしょうか?Fall Quarterでは、Foundationの授業履修が多かったですが、今学期は皆、FoundationからElectieveに至るまで多様な授業を履修しており、まさにBoothのFlexibilityの高いカリキュラムを存分に活かした形になっているかと思います。(先学期同様、同じ科目名の授業でも、どの時間帯の授業を履修するかは自由です。)


1年生のうちから様々なElective授業を履修できるのが一番の特徴と思います。実際の履修者にElectiveがどのような授業なのかを紹介してもらいましょう。

Debt, Distress, and Restructuring

Corporate Financeの分野の上級クラスの一つで、企業のCapital StructureとDistress投資の二つを主に扱います。Capital Structureのセクションでは、Capital Structureは企業価値に影響を与えないというMM理論の限界を説き、Capital Structureがどうキャッシュフローに影響してくるか、最適なCapital Structureどうあるべきかについて学びます。例えばLBOにおいて、Tangibleな資産をSPCに移して倒産隔離を測り、ABSによる資金調達を行うことでどれほど利率を下げられるかを計算する等、かなり細かい実務面に踏み込んでいる印象です。Distress投資のセクションではハイイールド債への投資から、経営破綻寸前の企業のバイアウトのケースまで幅広く扱い、Credit Default Swapの仕組みやChapter 11の申請を一通り教えた後、最後に各グループでDistress投資のピッチをつくり発表するという内容になっています。どちらのセクションもハイレベルな内容で、教授やプログラムを提供可能という観点、学生側のニーズが高いという観点で、金融に強いBoothならでは授業ではないかと思います。(Class of 2020 R.I)

Social Enterprise Lab

Social Impactにフォーカスした、Labコース(実在企業などの問題解決に取り組むプロジェクト型授業)の一つです。クライアントは、伝統的なnonprofit(非営利組織)だけでなく、社会的課題の解決をミッションとするfor-profit(営利企業)まで含まれます。私のケースでは、中小企業やNPOにフォーカスした40名規模のコンサルティングファーム(for-profit)がクライアントで、幅広い中小企業・NPOにリーチするための新規サービス開発 / 市場リサーチに5人のチームで取り組んでいます。中小企業やNPOへの個別コンサルは、採算化が難しく、事業をスケールさせていくにも限界があるので、行政・財団・投資家・銀行・大企業などのエコシステムレベルの組織を直接的なターゲットとして、彼らを通じた中小企業・NPO向けのサービスやプログラムを作っていくのが基本的な方向性です。秘密保持のため詳述は控えますが、クライアントが温めた複数のコンセプトに対して、潜在顧客・パートナー・業界専門家などへのインタビューやアンケートなどを通してマーケット調査を行い、ビジネスケースを立案するところまでが責任範囲です。このLabコースには、Social Impact業界への就職に本格的に取り組んでいる人から、好奇心ベースで受講している人まで参加の動機は様々であり、Harris(シカゴ大学公共政策大学院)からの参加者も多いので、様々なバックグラウンドの人が集まるのも特徴の一つです。業界経験の豊富なコーチ(メンター)が各チームに付き、教授と合わせてプロジェクトの進行をサポートしてくれるので、彼らのアドバイスやフィードバックが非常に有益だと感じています。(Class of 2020 J.Y.)


Accounting for Entrepreneurship

設立からIPOに至るまでのStartupの成長過程において、CFOとして必要になる知識を習得する授業です。Accountingと名がついていますが、会計よりもStartup特有の財務戦略をメインに扱います。トピックとしては、Common stockとPreferred Stockの違い、Cap tableの構築とOption poolの設定、会社形態(LLC, C-Corpなど)の違いによる税務上の長所・短所、Founder間の株式分配、役員・従業員報酬(Stock optionなど)の配分、VC・社債・IPOによる資金調達などを取り扱います。教授(Ira Weiss)はAngel投資家やソフトウェア開発企業のBoard Memberとしての実務経験もあることから、実在企業の事例などを多く交えて講義が構成されています。また、税務戦略の専門家(Taxes and Business Strategyという別講座も担当)でもあることから、Startup特有の税制優遇や会計処理などについても扱います。(Class of 2020 T.K.)

授業の履修については、今後もお伝えできればと思います。

Finance Classes @ Booth

2年生のざきやまです。

 

私はBooth入学前に投資銀行でフィナンシャル・アドバイザー(FA)業務を行っていたのですが、当時からコーポレート・ファイナンス理論やコーポレート・バリュエーションに大きな関心がありました。

当時は仕事の傍ら専門書を読み漁ったり、同様の関心を持つ先輩バンカーと議論したりしながら、FA業務を行っておりました。

 

そんな中、市場では「マイナス金利政策」や「HFTやアルゴリズム・トレーディングの普及」等の大きな変化が起こり、CAPM等の従来の伝統的な投資銀行のアプローチに単に従って業務を行っているだけでは本質的なアドバイスを行う事は難しくなってきたと認識しました。従って、①専門書に掲載されているHow toで対応するには限界がある為、コーポレート・ファイナンスやバリュエーションの根幹(What)までをしっかりと理解し、その上で、然るべき前提を柔軟に変更して、ケースバイケースにおける本質的なアプローチが出来るFAが必要とされると考えました。

加えて、②従来の成熟大企業を対象としたコーポレート・ファイナンス/バリュエーション理論に加えて、スタートアップやVCの普及に伴い、アーリーステージの企業に対するアプローチや、プライベート・エクイティの発展に伴った、中小企業へのアプローチも、特性として認識する必要があると思いました。

 

Chicago Boothはその双方を満たす授業を提供しております。

 

①に関しては、例えばユージン・ファーマ教授(2013年ノーベル経済学賞受賞)のPortfolio Choice and Asset Pricingという授業があります。基本的にファーマ教授の著書及び論文を読み(毎週5本程度読みます)、それを基にクラスで議論をするという形態です。ファイナンスに詳しい方はご存知かと思いますが、ファーマ教授はCAPMで説明のつかないアノマリーに対して、スリー・ファクター・モデル(株式のリターンは市場リターン、時価総額、PBRの逆数の3つのファクターと相関があるというモデル)というアプローチを開発した方です。著名人なのでさぞかし頑固かと思いきや、小生なんかのモデル前提に対する指摘に対してもあっさりと非を認め、なぜその前提を選択したのか、その副作用として他の前提を犠牲にしたのかをしっかりと説明してくれました(私の指摘は、ファーマ・マクベス回帰において2段階目の回帰アプローチ時βが高い順にグループ化して回帰分析する事により、意図的に標準誤差を調整しているのではないか?という指摘でした)。本授業は、MBA生向けであるものの、PhDレベルの授業という事で、月曜と水曜に週2回授業があるのですが、毎週水曜にTake Home Exam、隔週月曜にデータ分析を用いたProblem Setの提出が求められる為、時間的コミットメントの大きい授業となります。

 

②に関しては、2つの軸(会社のステージと、誰にとっての視点か)に基づき、複数の授業がオファーされております。例えば会社のステージがスタートアップであり、視点が株主ということであれば、Venture Capital LabやCommercializing Innovationという授業がオファーされておりますし、視点が経営者ということであれば、Entrepreneur DiscoveryやBuilding a New Ventureという授業がオファーされております。会社のステージが成熟期で視点が投資家であればPrivate Equity LabやEntrepreneur Finance and Private Equityという授業が、会社のステージが衰退期であれば、Debt, Distress and Restructuringという授業がオファーされております。Labの授業に関しては、授業外にシカゴ地区でのPrivate Equity若しくはVenture Capitalでのインターンシップ(週2以上)が求められる為、アカデミックと実務の両輪で学びを得る事が出来ます。また、アントレ系の授業では、起業家で自身の企業を複数回IPOしたMark TebbeやScott Meadowの様な実務出身の教授がマーケットプラクティスに基づいた学びを与えてくれます。この実務とアカデミックの両立が卒業後のバリュープロポジションとなる事は間違いありません。

 

Boothは、ビジネス環境の変化に柔軟に対応し、アントレプレナーシップ、マーケティング、ソーシャルインパクトといった強力な軸を持った学校へと変貌を遂げているものの、圧倒的なファイナンスの強みというのは引き続き健在であり、ビジネススクールでありながら、Master of FinanceやPhDを凌駕するような、無限の成長機会が用意されています。ファイナンス・マニアの方にはこれ以上の環境は存在し得ないと思います。

ファイナンス界のレジェンド ユージン・ファーマ教授(2005年ノーベル経済学賞受賞)

ファイナンス界のレジェンド ユージン・ファーマ教授(2005年ノーベル経済学賞受賞)

Booth: 自由度の高い授業環境

皆さん、こんにちは!Class of 2020のH.Mです。

Boothの特徴として、よく授業のFlexibilityが挙げられることをご存知の方も多いかと思います。必修指定されているのはLEADというリーダーシップの授業のみで、それ以外の授業は自分の好きなレベルのものを、好きなタイミングで履修でき、自由度が大きい(他校のように1年目はCore授業、2年目はElective授業という縛りがない)という意味です。

今回は、Class of 2020の日本人14人が、Boothの最初の学期(2018 Fall Quarter)に実際にどのような授業を履修しているかをご紹介し、どの程度のFlexibilityがあるかをご紹介出来ればと思います。

まず、前提として、BoothのカリキュラムはLEAD以外に、Foundations、Functions, Management, and the Business Environment (以下FMBE)、Electivesという3カテゴリーに分かれています。Foundationsは、Financial Accounting・Microeconomics・Statisticsの3分野それぞれからレベルは問わず1科目を履修することになっています。FMBEは、Finance・Marketing・Operations・Decisions・People・Strategy・Business Environmentの7分野のうち6分野以上からレベルは問わず1科目を履修することになっています。Electiveは完全に自由です。修了要件は20科目=単位2,000Unitです。

以下が14人の実際の履修科目の一覧です(LEADを除く)。尚、FMBEの科目にはElectiveにも重複してカウントされるものがありますが、その場合はFMBEとして色づけています。またMBA/MPCSのJoint Degreeが対象のコンピューターサイエンスの授業は別の凡例を付けています。


Foundation
Functions, Management, and the Business Environment
Electives
MPCS
Aさん 30116 - Accounting and Financial Analysis I 33001 - Microeconomics 37000 - Marketing Strategy 41000 - Business Statistics
Bさん 33001 - Microeconomics 38002 - Managerial Decision Making 38116 - Leading and Managing Teams 41000 - Business Statistics
Cさん 30000 - Financial Accounting 33001 - Microeconomics 35200 - Corporation Finance 42001 - Competitive Strategy
Dさん 33002 - Accelerated Microeconomics 37000 - Marketing Strategy 41100 - Applied Regression Analysis
Eさん 30000 - Financial Accounting 33001 - Microeconomics 41000 - Business Statistics 42001 - Competitive Strategy
Fさん 30000 - Financial Accounting 33001 - Microeconomics 41100 - Applied Regression Analysis
Gさん 33001 - Microeconomics 38103 - Strategies and Processes of Negotiation 41000 - Business Statistics
Hさん 34705 - Entrepreneurial Discovery 51042 - Python Programming 55001 - Algorithms
Iさん 30000 - Financial Accounting 37000 - Marketing Strategy 41000 - Business Statistics
Jさん 30000 - Financial Accounting 33001 - Microeconomics 37000 - Marketing Strategy 41000 - Business Statistics
Kさん 30000 - Financial Accounting 33001 - Microeconomics 41000 - Business Statistics 42001 - Competitive Strategy
Lさん 30000 - Financial Accounting 33001 - Microeconomics 37000 - Marketing Strategy 41000 - Business Statistics
Mさん 30000 - Financial Accounting 33001 - Microeconomics 34705 - Entrepreneurial Discovery 37000 - Marketing Strategy
Nさん 33001 - Microeconomics 34102 - New Venture Strategy 36110 - Application Development 37000 - Marketing Strategy

いかがでしょうか?履修に関していくつかコメントしますと、

  • 各学期とも3コマもしくは4コマを履修するのが標準的です。上記は全て1コマ=1週3時間×11週=単位100Unitの授業になります。履修している人はいないですが、5週間で単位50Unitの授業もあります。

  • どの時間のどの教授の授業を履修するかは自由です。上記で同じ授業となっているものも、別の時間帯、別の教授の場合が多く、そこも含めて各自で設計するようになっています。

  • 上記でElectivesの授業を履修している人がたくさんいますが、これは1年生の1学期目からアントレプレナーシップ等の授業を履修できるFlexibilityの現れと思います。

  • Tech系の授業を履修しているケースもありますが、中には、事前のプログラミングの経験は問われない一方、最終的な成果物としてWebアプリケーション等を自ら作成出来るようになる事を目指す授業もあります。Tech系の授業は近年人気が高まっている傾向にあります。

  • 最初の学期からElectiveの授業を中心に履修している人もいますが、最初の学期ではFoundationsを履修する人が多いです。これは他の授業の多くにFoundationsがPrerequisiteとして指定されているためです(職務経歴等によりWaiveも可能)。

  • 同じFoundationの中でも学部時代に既に履修していたり、職務の中で経験している場合は、中上級クラスを履修することも可能です。具体的には下記の通りです(各クラスの履修者により執筆)。

    • Financial Acountingの上級クラス(Accounting and Financial Analysis I):財務会計の中でやや難しい項目を扱うクラスという位置づけで、基礎クラスの延長上にあるイメージです。具体的には、繰延税金資産・負債、リース、年金、投資、為替調整勘定、連結処理等の分野において、税率が変わった際の処理や10Kの情報から何が読み取れるか?と、概念というよりは深く実践的に学べます。教授(Leonald Soffer)の評判が高く、難しい処理をクリアに解説してくれます。企業のFinanceロール、投資銀行、PEファンドを目指される方には有益な授業だと思います。尚、BoothではこのクラスはFootnote accountingと呼ばれますが、一般にFootnoteという言葉から想像されるクラスとは異なる印象でmisleadingですので誤解に要注意です。

    • Business Statisticsの上級クラス(Applied Regression Analysis):通常の統計は統計学の基本を学んでいく一方、回帰分析モデル診断及び選択・時系列分析・一般化線形モデルなどを統計ソフトのRを持ちいて学びます。Boothに設置されているデータ分析関連の授業では、R又はPythonを使う授業も多く、私は一年目の冬学期に、病院のデータをRで分析する授業を履修する予定のため、その準備として履修しました。

    • Microeconomicsの中級クラス(Accelerated Microeconomics):通常のミクロ経済学との違いは、①進度が早い、②現実社会をミクロ経済学の理論を用いて分析することに重きが置かれている、という2点になります。例えば、「空港のチェックインカウンターや郵便局の窓口への列が、各窓口毎に列を作るのではなく、一列だけにしていることは平等と言えるか」や「アルコールによる社会が被る損害を最小化するためには、酒税はどのような考え方で設計されるべきか」等が宿題で課されます。尚、上級のミクロ経済学の授業は、履修者によると、分析対象のテーマ自体をチームで考えてそれを分析する、という授業のようです。

授業の履修については、冬学期以降さらに多様になっていきます。こちらもまた冬学期になりましたらお伝えできればと思います。